新・姉取沼物語
みやぎふるさと物語シリーズ第2弾!
迫町北方に残された逸話「姉取沼」の物語。
題材となったお話1「姉取沼の由来」
昔々、北方の台という長蔵という長者が住んでいた。長蔵には二人の娘がおり、姉妹はとても仲が良く互いを思い合う良い姉妹であった。ある日、二人はいつものように沼で洗い物をしていた。 すると突然、空が真っ暗になり、嵐になった。気が付くと姉だけが沼に落ち、消えてしまっていた。妹は姉を必死で探したが見つからず、 そのまま衰弱し、自分も沼に沈んで死んでしまった。そして姉は姉取沼(今の長沼)の主となり、妹は隣の沼(伊豆沼)の主となったと言われる。
題材となったお話2「姉取沼の碾き臼」
弥吉は伊勢参りに行きたかったが、貧乏で行けなかった。ある日姉取沼で弥吉は観音様のような沼の主に出会う。沼の主は弥吉に「隣の沼に手紙を届けて欲しい」と お願いされる。弥吉は妹沼に手紙を届けると、妹沼の主は弥吉に碾き臼をくれた。その碾き臼は回すと金がこぼれる不思議な碾き臼だった。弥吉は大事に長持ちにしまっていたが、 嫁が怪しいと思い、碾き臼をみつけこっそり回した。金が出てくるのを喜んで、勢いよく回し過ぎたため、碾き臼は一人で転がり、沼に沈んでしまった。
昔々、長沼と伊豆沼は繋がっており、その形は「つ」のような大きな沼だったという。(登米市迫町の北方の台(現在の北方小学校付近)というところに、長蔵という長者が住んでいた。 長蔵には二人の娘がおり、姉をきぬ、妹をあさと言った。きぬは身体が弱く、あさはそんなきぬを気遣い、二人はいつも一緒に過ごしていた。ある日二人は、沼で洗い物をした帰り、 きぬが体調を悪くし、動けなくなってしまった。そこへ通りかかった百姓の息子、善吉がきぬを助けてくれる。善吉を気に入った長蔵は善吉を手間取りとして雇い、姉妹は善吉と仲良くなっていった。 そして、いつしかあさは善吉に淡い恋心を抱くようになっていた・・・。しかし、長蔵は働き者の善吉をきぬの婿として迎えようと決め、姉妹の心は引き裂かれていくのだった・・・。
きぬ(姉) 門脇 瑞貴
あさ(妹) 大友 奏美〔佐沼中3年〕
善吉(北方の若者) 柳渕 泰孝
長蔵(長者) 千葉 克哉
ふみ(長蔵の妻) 池田 和子
末彦(善吉の弟) 渥美 来夢〔米岡小6年生〕
留助(善吉の弟) 佐々木 健太郎〔米岡小6年生〕※本番当時
弥吉 池田 幸哉
より(弥吉の妻) 浅野 千代美
平太 半田広太郎
協力スタッフ
背景幕制作 亀井武宏
背景幕縫製 上野かつゑ
脚本 演出
大友久仁恵
「小里敵討~お初観音の願い~」
あらすじ
時は仙台藩主伊達政宗の時代、雪の降る寒い日、遠田郡涌谷町の小里長根にある小さな鹿小屋で斬り殺された
お初から産まれたお里は、通りかかった涌谷の侍、水野逸角夫婦に救われ養育された。
母の死の真相を知らず、もらわれた子供として愛情を注がれ天真爛漫に成長したお里は、13歳で仙台の齋藤
外記の家に奉公に出された。齋藤外記は伊達政宗より刺客や暗殺の仕事も引き受ける剣の達人。お里はそこで
家事手伝いより道場の稽古に夢中になり、いつしか外記から剣術の指南を受けることとなった。お里は女の身
でありながら、3年の間に外記の技をすべて覚え、数多の門下生よりも優れた剣士となった。
奉公が終わり、16歳で涌谷に戻ったがすぐに日本百番の巡礼の旅へ出発。1年後、再び故郷へ戻ってきたお
里は、偶然、古川で研ぎ師をしていた実の父、権兵衛と再会した。親子は再会を喜んだが、権兵衛の店に古い
疵のついた刀を磨いでくれと侍がやってくる。この人物こそがお里の母、お初を無残に斬り捨てた犯人であった。
母の死の真相を知ったお里は、憎き敵を討つために敵討ちの仕合を申し出る…。
題材となった石碑
キャスト
お里(大友奏美)
主人公。小里長根で斬り殺された母より産まれた子供。大人になり敵の正体を知ると敵討ちを願いでる。
水野逸角(千葉克哉)
お里の養父で涌谷の侍。小里長根で殺されたお初の腹から赤子を救いだしお里と名付ける。
齋藤外記(照葉)
お里の剣を教えた師匠、13歳のお里の奉公先の主。伊達政宗に仕え隠密や暗殺で手柄を立てた剣の達人。
お照(浅野千代美)
お里の養母。水野逸角の妻。逸角と共にお初の腹からお里を救いだした。
水野角之助(柳渕泰孝)
水野家の長男、お里の兄。実の兄のように妹を気にかけているが、振り回されがち。
譜代徳五郎(佐々木由美)
水野家に仕える家臣、角之助と兄弟のように育ちお里を小さい頃から見守ってきた。
権兵衛(大桐屋)
お里の実の父、研ぎ師。本名は衛門太、涌谷で婿養子となりお初と結婚するが、義理の父と不仲で離縁。
お良(工藤美保)
権兵衛の後妻。衛門太が研ぎ師に弟子入りした後に結婚する。養子に職人の妻らしく夫に従い尽くす女性。
お夕(門脇瑞貴)
涌谷城下の茶屋の娘。身寄りはなく、茶屋の女将に引き取ってもらい世話になっている。お里の姉のような存在。
お福(大滝敬)
涌谷城下の茶屋女将。親を亡くしたお夕を引き取った情の深い女将。おだんごが自慢。
小笠原十太夫(池田幸哉)
肥前から来た浪人、妊婦のお初を斬り殺した張本人。涌谷要害を出入りし、伊達安芸に剣術の腕を見込まれお抱え侍となる。
お初(佐々木よし子)
お里の実の母。小里長根の小屋で陣痛を起こし、苦しんでいるところを通りかかった侍に斬り殺される。
銀治(半田広太郎)
町のチンピラ、兄貴肌だが喧嘩はそれほど強くないらしい。茶屋のお夕をナンパするがお里に邪魔され腹を立てている。
小鉄(岩井英雄)
町のチンピラ、銀治を兄貴と慕っている。割と小回りが利き情報通な一面もある。
伊達安芸(嶋本博昭)
涌谷城の城主、十太夫を召し抱えていた。お里の敵討ちの仕合に立ち会う。
公演の記録
第5回公演終了しました!
平成28年9月18日の日曜日、日本の西南にある台風の影響で朝から静かな雨がシトシトと降り注いでいました。
雨はそれほどひどくならなかったのですが、会場となった米山体育館の前で待つお客様が多く、少し早めにお入りいただきました。
会場に入られるお客様は開演直前まで切れる事なく、1階はほぼ満杯になり、2階へと誘導されました。
開演前の神楽を楽しんでいただき、実行委員長はじめ、3名の口上もお客様から笑いと拍手をいただきました。
そしていよいよ本番の拍子木が打ち鳴らされました!
5月からの稽古の成果を今、魅せる時です。
お初の非業の死から始まり、お里が腹から救い出される場面。
そして成長したお里は生き別れた父親との再会、母を斬り殺した敵の正体がばれる場面…、
大勢の観客を前にして、初舞台の役者もおり、緊張でセリフを忘れる場面もありましたが、何とかアドリブで乗り切り、逆にお客様に笑っていただきました。
一幕終わるごとに感動した場面では観客から温かい拍手が。
お里が敵を討ち果たした場面では予想以上にお客様から歓声が上がり、観客が舞台が一体となる良い芝居となりました。
登場しただけで笑いを誘うお福さんや、敵討ちの仕合の見物人として登場した実行委員のお二人のアドリブの演技にも笑いがこぼれました。
敵を討つという重いテーマではありましたが、笑いあり涙ありのスカッとする芝居だったと、お客様から声をいただきました。
ご来場いただいた皆様、大変ありがとうございました。まだ第6回の舞台でお会いしましょう!
脚本・演出 大友 久仁恵